旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

夜行列車の考察 ~素晴らしき時間と旅路のあと~

豪華クルーズトレイン真っ盛り

 6月17日より、JR西日本が豪華クルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風」の運転が開始されると、ニュースや新聞紙上を賑わせている。
 あの濃緑色の車体は、まさしくあの豪華寝台特急であった「トワイライトエクスプレス」の血筋の証。それも、新造車両で、なおかつ豪華さはその上をいくようだ。

 贅を尽くした内装はもちろん、沿線各地にある観光地へは、専用のバスも用意されいる。しかも食事も相応のものが用意されているから、これはきっと上品な味わいを堪能できるかもしれない。

 もちろん、私も乗ってみたい。が!

 最低でも40万円弱!!

 これには驚いた。
 職場の新人にその話をすると...
「私の給料、3か月分が吹っ飛んじゃいます(>_<)」
 と、言いながら倒れ込んだ(笑)

 そして嫁とも話題になり、話していると、
「よく、こんな高いの乗るわね」
「お金持ち向けなのかもね。それにしても、乗ってみたい」
「我が家にそんな余裕はありません(キッパリ)」
 はい、おっしゃる通りです。1人40万円弱も出せるゆとりなど、ありませんから。

 豪華なクルーズトレインのターゲットは、明らかに富裕層だとわかる。
 聞けば、100万円もするツアーもあるというから驚きだ。

 もちろん、こんな豪華なクルーズトレインが運転される沿線はといえば、富裕層のお客さまを得意の「おもてなし」で迎えようと、どこもかしこも躍起になっている。観光地ならなおのことだ。それで、沿線に経済効果をもたらすのであれば、それはそれでいいことなのかも知れない。

 JR九州の「ななつ星in九州」を嚆矢に、JR東日本の「四季島」と、いまや豪華クルーズトレインが真っ盛り。そして、お値段もまた、それなりに「ゴージャス」となっている。

 そんなクルーズトレイン。私も乗ってみたい!
 でも、普通に給料生活を送っている私には無縁な列車かもしれない。

夜行列車は移動の手段だった

 そういえば、ちょっと前までは、値段的に手が届く夜行列車は数多く走っていた。東京と九州、上野と東北地方や北海道を結んで、毎晩長距離を走り抜けていったものだ。かくいう私も、九州勤務時代や北海道旅行に行く時には、何度も利用した。

「富士」「あさかぜ」「みずほ」「さくら」「はやぶさ」などなど。
 青く艶やかな車体に、白または銀色の帯を巻いた寝台特急ブルートレイン」だ。
 しかし、残念なことに今は全滅。最後の最後まで残った、上野と札幌を結ぶ「北斗星」が北海道新幹線という「怪物」の餌食となって消えていってしまった。あれだけ盛況だったことを考えると、とても残念でしかたがない。

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 ところで、長距離を移動する時に使う交通手段は?と聞かれれば、何を思い浮かべるだろうか。

 行き先と距離にもよるが、やはり1番は飛行機だろうか。
 次いで新幹線、若い人なら高速バスというかもしれない。
 だけど、夜行列車と答える人はまずいないと思う。それはそうだ。いまもなお残っているのは東京と四国、山陰を結んでいる「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」の2つだけ。しかも、かつての夜行列車の象徴だったブルーの車両ではなく、クリーム色と臙脂色のボディーは、夜行列車というにはすぐに結びつきづらいかも知れないと思う。

 夜行列車。
 もはや、時代に取り残された、過去の存在なのかもしれない。
 夕方から夜にかけて列車に乗り込み、流れゆく車窓を眺めながら食堂車で食事をしたり、車輪がレールの継ぎ目を通過する時の独特の音を聴きながら、夜の暗い窓際で缶ビール片手に日常の煩わしさを忘れさせてくれた、あの独特の雰囲気と時間。それもすべて過去のもの。もう二度と帰ってこないだろう。

 でも、あれだけ多くの人の長距離を移動する「足」として重宝され、一時はブームまで巻き起こし、日本の経済成長の一端を担ったであろう、夜行列車はなぜ「絶滅」していったのか。私には、ずっと疑問がついて回っている。

 もちろん、鉄オタの視点ではなく、元鉄道マンというプロであった人間の視点と、都市計画と交通インフラについて研究(?)を好む人間の視点で、夜行列車について今一度考察していこうと思う。